Jumeau
 

 「ジュモーに始まりジュモーに終わる」と言われるほど
多彩で深い奥行きを持つジュモードール。
ジュモー工房が送り出したポートレート、テート、EJ、
トリステ、ベベフランセ等々
それぞれが煌くような個性と華やかさを持っています。

私は最初ジュモー系の顔があまり好きではありませんでした。
3体目くらいに小さなテートジュモーを作りましたが、その時は
あのやや下膨れの頬や濃い眉毛が古めかし過ぎる気がして
その後しばらくは手を付けずにいました。

ブリュやゴーチェ、ミニョネット、アーティーなど
ひととおり作った後にEJを作ったのですが、
その時初めて再発見のようにジュモー系の魅力に気づきました。
ひとたびその魅力に取りつかれると、それまで敬遠していた個所も
かけがえのない個性のように感じられるものです。

ふっくらと豊かな薔薇色の頬、
これぞまさに蛾眉と言いたくなるような伸びやかな眉、
しっかりとした厚みと幅のある唇、
テートのゆるくカーブを描く長いまつ毛、
EJのぷちぷちと元気な短いまつ毛。

これらのジュモードール、特にテートジュモーは
アンティークに似せようとするとかなり製作者泣かせの絵付けです。
眉の形のちょっとしたバランスや長いまつ毛の勢い、カーブ具合など
少しのぎこちなさが必要以上に目についてしまいます。
そしてもちろんすべてのリプロの絵付けに言える事ですが、
すべてのラインが自然に見える事が必須です。
揃い過ぎてもダメ、もちろん乱れ過ぎてもダメ。

生き生きとした迷いのない確信に満ちた筆遣いを目指して、
私の楽しい?苦悩は続きます。